低用量ピル
ピルによる避妊を考えていますが、どういうものかよくわかりません。 それに薬を使うという点が、ちょっと不安です。
女性のライフスタイルが多様化する昨今、自分の意志で避妊や体調管理ができるピルに注目が集まっている。 そのメリット、デメリットはどこにあるのか?
ピルによる避妊の仕組み
女性の体内では、ホルモンの働きによって一定周期で排卵が起こり、妊娠可能な状態が保たれている。 そして妊娠をすると、重複して妊娠しないように自然に排卵がストップする。 この摂理を利用するのがピル。
ピルの主成分は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)で、これらは排卵や妊娠のシステムをコントロールしている女性ホルモンである。
ピルを服用すると、女性ホルモンが脳の視床下部や下垂体に働きかけ、擬似的な妊娠状態を作り出す。 それにより排卵を止め、妊娠を防ぐ。
また、ピルは子宮の入り口にある子宮頚管の粘液を濃くし、精子が子宮に入り込むのを防いだり、たとえ受精したとしても子宮内膜の増殖を抑えることで受精卵の着床を妨げる。
ピルは、このような仕組みで妊娠を二重三重で防いでくれる。
ピルを使うメリット
ピルの最大の利点は、ほぼ確実に避妊できることにある。 完全に100%と言い切れないのは、飲み忘れや嘔吐、激しい下痢などにより、まれに成分が吸収されない場合があるため。
それでも、避妊手術(卵管や精管を結び、卵子や精子の道をふさぐ方法)やIDU(避妊用の器具を子宮内に装着する方法)、コンドームよりも確実な効果が得られる。
また女性自らの意志で選択できる避妊法なので、男性主体の避妊法による不安や望まない妊娠、体に大きな負担をかける中絶手術などを自分自身で防ぐことができる。
避妊効果以外の副効用としては、月経異常を改善する効果があると考えられている。 これは、ピルの服用によってホルモン分泌の周期が安定するため。 そのほか、子宮内膜の増殖を抑えることで月経時の出血量が減少するので、月経困難症や鉄欠乏性貧血が改善できるとも言われている。
さらにピルを服用している女性は、卵巣がんの発生率が60〜80%も減少すると言う報告があったり、子宮体がんの発生率が40〜60%ほど低くなるとも言われている。
ピルの副作用
ピルは薬の一種であるため、副作用が起こる場合もある。 実際、ピルが一般的に使われ始めた1960年代には、エストロゲンの影響でがんにかかる女性が増え、問題になった。 これはエストロゲン含有量の高い高用量・中用量ピルが使われていたことが原因だった。
しかし現在では、エストロゲンの量を避妊効果が得られる限界まで抑えた「低用量ピル」が主流となっているため、副作用は起こりにくくなっている。
また擬似的な妊娠状態を作り出すため、つわりに似た症状(むかつきや吐き気、頭痛、不正出血、倦怠感、乳房の痛みなど)があらわれることもある。 しかし副作用の程度には個人差があり、ほとんどの場合は2〜3か月ほど経過すれば体がピルに慣れてくるため、徐々に治まることが多い。
ピルの購入方法
日本では副作用の危険性を考慮し、医師の処方がなければピルを購入できないようになっている。 副作用の少ない低用量ピルであっても、すべての人が服用できるわけではない。
がんの疑いがある人やかかったことがある人、血圧の高い人、心臓や肝臓に疾患がある人、甲状腺機能完遂症や糖尿病などの内分泌疾患がある人には、ピルを処方しないことがある。
病院では、問診のあと、一般的検査と婦人科的検査、性感染症検査を行う。 そして服用に問題がないことがわかればピルが処方され、飲み方や副作用などについて説明をする。 病院を訪れる際、基礎体温表などがあれば持参する方が良い。
日本で処方される低用量ピルは主に2種類。 エストロゲンとプロゲステロンの割合が一定の「1相性」、ホルモンの割合を7日ごとに3段階に調整してある「3相性」の2種類がある。 どの種類を処方するかは、生活スタイルや体質を考慮したうえで医師が判断する。
ピルの飲み方・服用
基本的な飲み方は、1枚のシートに21錠入っているピルを1日1錠ずつ同じ時間に飲むという方法。 月経開始後5日目から21日間飲み続け、その後7日間服用を休止する。
しかし休止期間後の飲み始めの日を忘れてしまうケースが意外に多い。 それを防ぐため、7日分の偽薬(ビタミン剤や鉄剤など)を加えた28錠入りのシートもある。
万が一飲み忘れた場合には、気がづいた時点でピルを飲み、その日の分も通常通り服用すれば避妊効果に影響はない。 しかし2日以上飲み忘れると効果は期待できないため、服用を中止し、ほかの方法で避妊をしなくてはいけない。
再度ピルを理由する場合、次の月経が始まってから新しいシートのピルを服用する。
3相性のピルは、飲む日にちによってホルモン剤の配合を変えている。 そのため、服用の順番を間違えないよう注意をしなくてはいけない。
ほかの薬を服用するときにはピルを続けていいかどうか、必ず医師や薬剤師に相談する。
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